2010年8月30日月曜日

そらの呼吸

立ち上る白雲


遠くから眺めるとまるで衣を纏うように

あえて頂だけ包まれた富士山


周りとは一線を画すその存在と空気の流れ



日本一のてっぺんに登りたい

日本の象徴として聳え立つのは

そう思わせてくれる奥ゆかしさがあるからこそ



4年ぶりの富士登山は

軽やかな足取りに支えられててっぺん到着



違いは足取りもさることながら

ほかでもない青空で




東から明ける朝空


徐々に陽の当たる面積を広げる朝空は

星を空色に変え

雲を染め命を吹き込む


見入る僕らの顔を照らし

表情に暖かい色を注ぎ込み

やがて冷えた身体をも火照らす



そのとき僕らは空にいて

青い天井に包まれた



ずっと向こうの

ぼくの背中にまで続く青空に

興奮は昂ぶらず

ただ落ち着きのある高揚感がぼくの背中に手を添えて



2度目で初めて見た噴火口

お鉢参りの果てに

太陽の裏側に見た富士の影


アルプスにまで届かんばかりの

日本一の大日陰



空があって

大地があって


光があって

風があって



その狭間に浮かぶ白雲から受け取った

湧き立つ自然の息吹



また来年も登ろう