立ち上る白雲
遠くから眺めるとまるで衣を纏うように
あえて頂だけ包まれた富士山
周りとは一線を画すその存在と空気の流れ
日本一のてっぺんに登りたい
日本の象徴として聳え立つのは
そう思わせてくれる奥ゆかしさがあるからこそ
4年ぶりの富士登山は
軽やかな足取りに支えられててっぺん到着
違いは足取りもさることながら
ほかでもない青空で
東から明ける朝空
徐々に陽の当たる面積を広げる朝空は
星を空色に変え
雲を染め命を吹き込む
見入る僕らの顔を照らし
表情に暖かい色を注ぎ込み
やがて冷えた身体をも火照らす
そのとき僕らは空にいて
青い天井に包まれた
ずっと向こうの
ぼくの背中にまで続く青空に
興奮は昂ぶらず
ただ落ち着きのある高揚感がぼくの背中に手を添えて
2度目で初めて見た噴火口
お鉢参りの果てに
太陽の裏側に見た富士の影
アルプスにまで届かんばかりの
日本一の大日陰
空があって
大地があって
光があって
風があって
その狭間に浮かぶ白雲から受け取った
湧き立つ自然の息吹
また来年も登ろう